二十四節気《夏至》について 夏とお茶生活と

一年で一番日の出から日の入りまでの時間が長い日、夏至。

太陽暦で6月21日か22日頃です。夏の節気のちょうど真ん中に当たります。7月に向かって暑さが本格化していく時であり、昔は田植えの終わりの目安でもあり農民にとって忙しい時期でした。

夏至にまつわる季節のものごとをご紹介します。

日本の夏至について

日本では梅雨を迎え、雨空が多い季節です。曇天が続き人々の気分は欝々としますが、田植えにとっては恵みの雨です。稲作中心の農耕文化を築いた日本人にとって、稲の収穫は経済や政治に直結する関心事でした。稲作にとってこの時期の雨は大切なものでした。

お茶の生産はどうかというと、二番茶の収穫が終わり、煎茶を新茶として売り出すのも終わりの時期でもあります。二番茶で紅茶や軽微発酵のユニークな茶葉を製造しているところもあります。

夏至の七十二候

初候 乃東枯(なつかれくさかるる)

乃東枯(なつかれくさかるる)とは冬至の頃に芽を出した「夏枯草」が枯れるころという意味です。

ここで「夏草」と言われるのは「靫草」のことで、草木が枯れる冬至の頃に芽を出し、山や野、日当たりの良い道端に自生します。春に向けて成長します。一般的に草木が繁茂するのは夏ですが、「夏枯草」と呼ばれるように夏至の頃には花穂が茶褐色になって枯れていきます。夏至の七十二候の初めにこの面白い植物で季節を喩えられています。

次候 菖蒲華(あやめはなさく)

この時期は菖蒲が咲く時です。あやめは凛とした姿が特徴的な植物です。似たような形をしたアヤメ科の植物には、アヤメ(菖蒲)、カキツバタ(杜若)、ハナショウブ(花菖蒲)とありますが、6月の下旬に咲いているのはハナショウブです。

アヤメやカキツバタに比べ、ハナショウブは大振りの花を咲かせまた開花する時期が遅いのです。

ハナショウブと聞くと端午の節句の菖蒲を想起しますが、ハナショウブと菖蒲は別の植物です。ハナショウブの葉が菖蒲の葉に似ていることから付けられました。

末候 半夏生(はんげしょうず)

半夏生とは夏至から11日目の日で、毒草「半夏」が生える頃を指しています。かつて半夏は田植えの時期の終わりを知らせる植物でした。半夏生はちょうどこの時期に茎先の数枚の葉が緑から白く変化します。半夏生とは半化粧に掛けているとも言われています。

食文化

冬至にかぼちゃを食したり、春分や秋分にぼた餅やおはぎを食べる風習がありますが、夏至にまつわる目立った食文化は一部地域を除いて日本にはありません。これは稲作の区切りの時期であり、雨で湿気の多い時期であることが関係していると言われています。夏至の頃農民にとって田植えが終わった後の休息の時でありました。また梅雨によって高温多湿の日本では食べ物が傷みやすい時期でもあります。

関西では豊作を祈ってタコを食べる風習があります。八本足が大地に根付くことに喩えた文化だと言われています。