一般的な日本茶の製法ではなく、変わった製法を組み合わせた日本茶が増えてきました。軽微な発酵によって香りを引き出したほうじ茶「かろやか」をレビューします。渋くも苦くもなく、繊細で華やかな香りが特徴のほうじ茶です。
お茶好きがもらったら嬉しいこと確実なお茶です。ほとんどの方が初めて感じる香りと旨みで他のどんなお茶とも異なります。
かろやかとは
「かろやか」とは、埼玉県入間市の茶の生産者比留間園さんが生産販売をするほうじ茶のブランド名です。パリの日本茶コンクールで最優秀賞だった今注目のお茶です。萎凋という技術で、今までになかったほうじ茶の香りを引き出したところに特徴があります。煎茶の副産物のような扱いをされていたほうじ茶ですが、嗜好の多様化によって人気のあるお茶になりつつあります。このお茶は味や香りに癖がなく、飲む人を選ばない多くのファンを獲得するお茶になるかもしれません!
「かろやか」の茶葉
一般的なほうじ茶に比べると、形状がかなり異なります。茶葉は大きく、焙煎が浅めの緑色が残る色合いをしています。香りは軽く、花のようなアロマが特徴です。ほうじ茶であること、普通の茶葉より大きいことを鑑みて、お茶を淹れる際にはほんの少し多めに茶葉を使います。
「かろやか」美味しく飲むのコツ
「熱めの温度でさっと淹れる!」かろやかを美味しくのむコツを一言で言えば、これに尽きます。日本茶の高級茶といえば、玉露や上煎茶の少し低めの湯でじっくり蒸らして淹れるのがポイントです。しかしこちらはあくまでほうじ茶なので、あまり蒸らさずさっと淹れます。長めに浸出すると苦味が強くなり、せっかくの香りを楽しめなくなります。急須の蓋をしなくてよいほどです。
「かろやか」味わいの特徴
萎凋された茶葉から花のような軽やかな香気が発しています。萎凋とはお茶を製造する前に生の茶葉をわざと軽く萎れさせることで、花のような香りを引き出す技術のことです。「かろやか」の特徴的な香りを「蜜香」と今まで日本茶で使われることのなかった言葉で表されています。蜜香は台湾の東方美人茶に使われる言葉で、「蜜のような甘い香り」とされます。華やかな香りにあっさりとした焙じた香ばしさが加わっています。苦さや渋さはあまりなく、ほんのりとした甘みを感じます。飲み干した後の香りの余韻が心地よいです。
水出し「かろやか」
水出しでどのような味わいになるのか試してみました。ほうじ茶で嵩張るので茶葉は気持ち多めの5gを使い、冷水400mlで4時間抽出しました。美味しそうな水色に仕上がりました。特徴的な萎凋の香りちゃんと出ましたが、熱湯で淹れるような「蜜香」の魅力を今回出せなかったようです。趣向を変えて楽しむ1つの手にしてください。
ほうじ茶とは
ほうじ茶とは、日本茶の一つで茶葉を火に掛けて炒って(焙じて)作られるものです。フレッシュな茶葉の味わいを楽しむ煎茶と呼ばれる一般的な緑茶に比べて、香ばしく深い味わいが特徴です。また水色は濃褐色です。ほうじ茶は煎茶を収穫し終わった後の二番茶や三番茶として作られたり、家庭で湿気った煎茶をもう一度美味しく飲むために炒って乾燥させて出来上がっていました。
コーヒーや紅茶に中枢神経を興奮されるカフェインが含まれているように、また煎茶や玉露にもカフェインは含まれています。他方でほうじ茶に含まれるカフェインは少ないとされています。たとえ夕方以降に飲んだとしても夜寝付けなくなるという心配は比較的少ない身体に良い飲み物です。
お茶のレベルとして一見格が落ちる扱いでしたが、加賀番茶が名声を得ていることから明らかなように近年コクの強いお茶として人気が出てきています。