煎茶とは緑茶の種類の1つであり、またその飲み方を指す言葉です。普段日本人が緑茶として普段から飲んでいる透き通った黄金色や翡翠色のお茶のことです。日々のくらしのお供として、おもてなしのウェルカムドリンクとして欠かせないお茶です。
煎茶とは
日本茶の80%を煎茶が占めています。煎茶とは元々「煎じた茶」を意味し、広義には玉露や番茶を含められます。茶葉の質、産地、収穫時期、品種、火入れ、ブレンドによって幅広い味があります。
透明黄金色の水色、香気や滋味が調和した後味や喉ごしが爽やかなものが良いものとされています。煎茶の歴史は長いといえど、形や色を揃える製茶技術が定着するのに明治時代初期のころまで掛かったと言われます。製茶技術の発展とともに茶の質も向上しました。
狭山の煎茶の特徴
狭山茶と呼ばれる地域の茶のおいしさの特徴は、ふわりとやさしい香気とさっと舌に広がる甘み、豊かな旨みです。また他の地域のお茶と比較してわかりやすい特徴は水色です。おいしい茶として伝統的な「黄金色」をしたものが多く売られています。消費者の好みに合わせて水色が濃くさっぱりとした深蒸し茶も多々ありますが、やはり上級茶と売られるものは黄みの強い水色をした煎茶です。また手揉み茶の文化も残っていますが、手間と時間が掛かるため生産量が非常に少ないです。そして見つけたとしてもかなり高価です。手揉み茶を飲む機会がありましたら、すかさず飲んでみましょう!
狭山茶の煎茶のおいしい淹れ方
煎茶は日本茶の大多数を占めるだけあって、産地、収穫時期、品種によって味わいにばらつきがあります。一番良いのは茶のパッケージの説明通りに淹れるのが良いですが、書いていないこともしばしばあります。この記事では目安になるように標準的な淹れ方を説明します。煎茶は大まかに、茶葉の質によって低温のお湯に浸すのがいいのか、高温のお湯でさっと淹れるのがいいのか分かれます。
上級煎茶のおいしい淹れ方
上質で値段が高いおいしいお茶は、少し湯を冷まして70度から高くても80度ほどで淹れます。緑茶は茶葉ごとに適温とされる温度で淹れる方が香気と滋味をよく引き出せます。
分量の目安1人前
- 茶葉 2.5〜3g
- お湯80〜120ml
- 浸出時間 1〜2分
上級煎茶の入れ方の目安であり、茶葉の種類や振る舞う人数はお好みで調節してください。おいしいお茶ほど少量の茶葉でも十分に滋味が出ます。
煎茶を淹れる温度の違いと味の変化
同じ茶葉を同じ温度で浸出する際の味と香りの変化を記録しました。甘み旨み、香りを引き出すことに重点を置きました。
- 2g の上級やぶきた煎茶の茶葉
- 150mlのお湯
- 抽出時間 1分10秒
摂氏80度 高めの温度
上級煎茶とそれ以外の煎茶を淹れる適温の分かれ目が摂氏80度でしょう。摂氏80度で茶葉を浸すとすぐに茶の成分が溶け出すように見えます。しかし、高品質な茶葉の場合、苦味が強く出てしまい、旨みや甘みを味わうことのできるお茶になりません。
摂氏75度 おいしい適温
一番香り、一番甘く、渋味や苦味のバランスが良いお茶ができました。この温度で上級煎茶を淹れた際に、一気に口腔内に流れ込む香りがたまりません。熱すぎずぬるすぎないお茶の喉ごしは爽快です。
摂氏70度 低めの温度
ふわっと香る温度ではありますが、温度が5度違うだけで香りの濃度が薄まったように感じます。苦味や渋味が出にくくなりますが、緑茶の味わいの深さが解りにくいです。
同じ茶葉でも目的によって使う湯の温度を変える
上記のことから同じ茶葉でも浸出する湯の温度によって味わいが変わることが分かります。温度の違いを理解していると、苦味を楽しむためにわざと高温で茶を淹れて楽しむこともできます。朝、目を覚ますために高めの温度で煎茶を淹れるとカフェインが多くなり、苦みを楽しみつつ目覚ましの1杯になります。
煎茶についてもっと詳しく
煎茶ということばの由来・歴史
西暦800年頃平安時代に唐から「煎茶法」と呼ばれる喫茶文化が伝来しました。ただし「煎茶」といえども、現在の茶葉を湯に浸して茶を抽出したものを飲むのではなく、その頃は「煮出した茶」を意味していました。こちらは元々の「煎じる」ということばに語義に沿った茶の淹れ方でした。
更なる煎茶の発展の前に、鎌倉時代西暦1100年代に宗から粉末の茶に湯を注いでのむ「点茶法」が伝わります。これが発展し現在に繋がる抹茶文化の始まりです。
西暦1600年代後半の江戸時代に明から「淹茶法」の喫茶文化が伝わりました。現在の「煎茶」として楽しむ茶の淹れ方です。