外国人の友達に日本文化を紹介するのにどんな話をすればいいのか困ったりしませんか?海外からのお客様をおもてなしするのに、知識が足りずに上手く説明できなかったりしませんか?
当サイトはお茶の知識を集めているサイトなので、お茶屋の観点から解決策を提案したいと思います。
実際に日本文化を紹介する時に困るのは語学力ではなく、文化的知識が足りないことの方が多いです。
日本の文化と聞かれてアニメ、マンガ、ゲーム以外にも、日本人なら自国の文化をどんどん紹介できるようになっておきましょう。
「緑茶」は現在日本を代表する伝統飲料であり伝統文化です。日本への造詣が深い海外の人からお茶について尋ねられたときには即座に応じられるように準備しておきましょう。
この記事はこんな方におすすめです。
- お茶の文化について知りたい人
- お茶と一緒に英語の文化を知りたい人
- お茶も英語もよくわからなけど、とりあえず海外の友人とのコミュニケーションを取りたい人
外国語として英語を学び、お茶について情報発信する筆者が重宝している本をピックアップしました。歴史的背景を学ぶことは時に難しいと感じることもあるかもしれませんが、陳腐化しない知識を学んでおいて損はないです。
お茶にまつわるおすすめ読書3選
茶の聖典『茶経』著者:陸羽
茶はまず中国で薬として飲まれ、広まりました。茶についてまとめた初めての書物と呼ばれています。30歳ころの若き日の陸羽が『茶経』というタイトルを付けたことに、茶への気負いが見えます。
760年ころに書かれたもので、初期の茶文化を紹介する茶人の聖典です。
上巻、中巻、下巻と分かれ、当時の茶文化団茶法について網羅した書物です。きれいに構成された文書で、現在の「茶のwiki」といったところです。8世紀中盤といえば、唐の文化が花開き謳歌した後でした。華やかな文化がもてはやされた頃に、陸羽は日本の「侘び寂び」茶文化に繋がるような倹約を至上とすることを説きました。当時の茶文化の発展を知れる貴重な資料です。
『茶経』は日本の茶人たち必携の書です。冒頭「一之源」の書き出し「茶は南方の嘉木なり…」は茶人たちが幾度も引用した有名なフレーズです。
お茶の古典というとなんだか難しそうですが、実際の文量は少なくすぐに目を通すことができます。理解するのは難しいかもしれませんがお茶に関して整理された順番で書いてあるだけです!
『喫茶養生記』著者:栄西
中国で仏教の修行に留学し、日本へ帰国する際に新しい喫茶の文化を持ち込んだのが鎌倉時代の僧侶栄西です。唐で茶文化が発展し、平安時代の日本にも茶が空海や最澄によって持ち込まれました。茶がそもそも薬として飲まれ始めたのと同じように、日本でも薬のように飲まれました。
薬用だった茶に新たな喫茶法を持ち込んだのが栄西です。栄西によって茶葉を細かくして湯で溶く抹茶法が広められました。栄西のおかげで以降の茶文化につながる茶葉の製法や飲み方が広まりました。
タイトルに「養生記」とあるように、茶を飲んで身体を癒やしましょうという内容がメインです。
有名と言えば有名な本ですが、日本人でも読んだことある人は少しマニアックかもしれません。海外のお客さんで栄西をすでに知っていたら、お茶に関する知識で対等には渡り合えないかもしれません。無理はせずに。
そして栄西もやっぱり茶の聖典『茶経』を読んだのです。
『茶の本』著者:岡倉天心
お茶に関する書物で、海外の人とも渡り合うのに最高の本が、岡倉天心によって書かれた『茶の本』です。茶の飲み方を紹介した本というよりは、茶とともに発展してきた日本文化について紹介した本です。
岡倉天心は激動の明治時代の偉人で、芸術への造詣が深い教養人でした。1863年に横浜で生まれ、居留地で英語を学びました。アーネスト・フェノロサの助手になったことで、日本美術の収集に関わるようなりました。英語に堪能だったこともあり、ボストン美術館のキュレーターを務めました。
『茶の本』が書かれたのには、1904年から1905年までの日露戦争で小国日本が大国ロシア帝国に勝利したことが背景にあります。大国にアジアの小国が勝利した秘訣は「サムライ・コード(武士道)」にあるのではないかということで『武士道』が注目されていました。
当時すでに日本を代表する教養人だった岡倉は、武士道を血なまぐさいものと表し、日本には「茶の湯」という非常にピースフルな文化もあることを主張するために著作しました。本は英語で書かれ1906年にニューヨークの出版社から発行されました。
文量自体は多くないのですが、ボストン英語で書かれ、茶の湯、宗教学、芸術、衛生学を教養人らしく古今東西の文学の引用を持ちながら匠に「日本人の心」を説いた名著です。気に入ったかっこいい文章を丸々覚えておけば、英文ライティングやビジネス会話で気の利いたフレーズを言うことも出来ます。
日本の茶文化に興味ある外国人はだいたい『茶の本』を読んでいるので、これは読んでおくべき一冊です。日本語版も現代語訳がいくつか出ているので、原文を難しいと感じたらまずは和訳から読んでみてください。
おまけ『武士道』著者:新渡戸稲造
ダイレクトに茶文化に対応するわけではありませんが、日本に興味がある文化人だと『武士道』や『葉隠』等、武士に関する書物を読んでいることが多々あります。岡倉の『茶の本』と並んで非常に有名な英語で書かれた本です。新渡戸は『武士道』の文中、武士たちが茶の湯を愛し、政争の場であったとも書いています。
非常に格調高い英文と言われ、難しい単語が並びますが、覚えたらいざというときにかっこいいフレーズをいうことができます。日本語版の初版も古めかしい言葉が並びますが、難しい語彙を増やす勉強になります。現代語訳も増えてきたので、読みやすい翻訳を探すのも手です。日英両方ともおすすめの本です。
番外編アニメ『となりのトトロ』
番外編で本でもないのですが、スタジオ・ジブリを代表するアニメーション映画『となりのトトロ』は海外でも大変有名です。「Totoro」で大体通じます。となりのトトロの舞台は茶どころ埼玉県所沢市です。作中に茶どころを示す場面がいくつかあるので、会話のアイスブレイクに使ってみてください。
もしかしたら今回のおすすめで一番手っ取り早いものかもしれませんね。