大禹嶺高冷烏龍茶と狭山茶と

お茶ガイド

標高2,800メートルの高山で栽培される幻の烏龍茶と言われるお茶のレビューです。
阿里山の緑茶とともに送ってくれた台湾の友人に非常感謝です。また狭山茶と台湾茶の交換しましょう。

昼夜の寒暖差や土壌の有機質の豊富により、旨味香りが際立つお茶です。

大禹嶺高冷烏龍茶とは?

お茶の名前の読み方、意味

まず日本人にとって読み方が難しいですが、「だいうりょうこうれいウーロン茶」と読むのが分かりやすいかもしれません。日本語での読み方はおそらくまだ統一されていないようです。

茶の名称がたいていの場合地名由来で、大禹嶺高冷烏龍茶も台湾の大禹嶺地区で育てられたものです。「嶺(みね)」とは「山なみ、山頂付近」を意味する漢字から高地で育つお茶というのが明解です。標高2,600メートルの高冷地であり、一年中霧に覆われている場所です。

生産地の特徴について

阿里山のお茶も高山地帯で作られていますが、大禹嶺地区はさらに標高が高いところで作られています。世界で一番高いところで作られるお茶の一つです。日本一の山、富士山を有する県であり、緑茶の生産が盛んな静岡県でも、生産地の標高は高いところで800mと言われています。

山であれ丘陵地帯であれ、斜面で茶の木を栽培するのは非常に難しいです。市場にたくさん出回るほどの量を嶺で作ることはできないため、希少なお茶とされています。

中トトロ

ちなみに所沢市の最も標高が高い「比良の丘」で標高155m!狭山茶が作られる場所は基本的に丘陵地帯から平野にかけてのもっとずっとなだらかな土地です。

大禹嶺地区の説明文でよく見つけるのが「霧」や「雨」「雲」という漢字です。一年を通して、嶺らしい不安定な天候が続くようです。茶の木の栽培には水はけの良い土地が条件です。一年中雨が降ったり霧が覆ったりしても良質の茶が作られるということは、斜面であるというだけではなく、かなり水はけが良いのでしょう。

大禹嶺高冷烏龍茶の味の特徴

95度の熱々の湯で用いることで、この烏龍茶の美味しさが引き出されます。

阿里山のお茶は華やかな香りが特徴だったのに対して、こちらは味にコクがあるのが特徴です。口に含む前に香るよりは、喉を通した後に清涼感と発酵による旨みが強いです。また飲んだ後に茶を炒った香ばしさがほんのりと効いています。

狭山茶との違い

烏龍茶と呼ばれるお茶は発酵の度合いでちょうど緑茶と紅茶の中間にあるものです。日本の緑茶がフレッシュな茶葉の味を留めているのに対し、台湾の烏龍茶は萎凋と発酵により香りを高めたものです。色合いも狭山茶だと山吹色〜翡翠色ですが、台湾茶の場合薄緑〜褐色と色合いが異なります。

阿里山茶は萎凋香が強く、大禹嶺高冷烏龍茶は発酵による香りが強いです。茶葉の繊維を壊しうまみを出すために葉をもむ作業を日本でも台湾でも揉捻(じゅうねん)といいます。製茶に関して同じ言葉を使うのに別の味が生まれるのは興味深いです。