とらや 2021年2月下旬 季節の上生菓子

お菓子
明治時代を舞台にした小説に出てきた椿の葉に置かれた餅というのが、風情があっていいなと長いこと思っていました。木へんに春と書いて椿と書く花を食で楽しみたく和菓子の老舗「とらや」で生菓子を購入しました。椿餅だけではつまらないので、一緒にいくつか他のお菓子も買いました。

椿餅 つばきもち

椿餅は平安時代に生まれたお菓子と言われています。源氏物語にも描かれたという歴史があります。

とらやさんの御膳餡入りの餅菓子は、香ばしい香りが素晴らしいです。煎った道明寺粉に肉桂(シナモン)が混ぜてあり、もちもちとした生地にしっとりとした餡が包まれています。肉桂の香りが豊かで、刺激的な匂いに感じる方もいるかもしませんが、食べてみるとふっと消えてしまう香りに感度します。道明寺粉のもちもちとした食感が絶妙で、ほんのりとした塩気と滑らかな餡とぺろりと食べてしまいました。

八声饅 やこえまん

鳥の鳴き声から名付けられたお菓子です。

黄身餡のあたたかな色合い、ふわりと見える佇まいに惹かれて買いました。餡にふわりとしたという形容詞はおかしいかもしれませんが、お菓子自体ほんのりと発光しているようで思わずこのように表現してしまいました。

黄身餡のこくのある滋味にホロリとした食感でいつまでも食べていたい味です。外側の黄身餡のほろほろ感をまとめるような内側の白餡がしっとりとし食べごたえがあります。

仙寿 せんじゅ

不老長寿の象徴「桃」を形取ったのが面白くて選びました。中国の伝説で仙女西王母の住まう園では三千年に一度桃が実り食べると不老長寿になると言われました。桃から生まれた桃太郎にも通じる話ですが、桃は仙果として邪気を払うと言われています。見た目の可愛らしさもあり、桃の節句らしい華やかなお菓子です。

外側は羊羹でしっかりめの食感です。しっとりと白餡が入り食べ応えありました。

蛤形 はまぐりがた

3月3日まで販売のお菓子で、雛祭りらしくて可愛らしさに惹かれました。一般的に丸や楕円形をしている薯蕷饅頭の形を少し尖らせ、貝に見立てた意匠がシンプルでありながら素晴らしいです。

薯蕷饅頭は少し大きめに見えますが、甘すぎない餡ですぐに食べ終えてしまいます。

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